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パーティーが終わり、最後の客を見送った。


「司さん」


ババアだ。


「今日のあなたは心ここにあらずでしたね。こんな大切な日に何を考えていたのかしら。」

「申し訳ありません。」

「後継指名されたからには、より一層気を引き締めて事に当たらなければなりませんよ。些事に気をとられるのは今日を限りになさい。」


はっ!些事ね。
俺にとっちゃこのパーティーこそ些事だがな。


「ハハ、司! お疲れさん。女のことを考えてたろ? 今日のパーティーでステキな女性でも見つけたか?」


親父。
実はあんたが一番の腹黒だってことはわかってる。
親父の前ではババアも小物に映るくらいだ。


「いえ、そのような方はおりません。」

「司は厳しいねー。私が若ければ相手にしたい女性はたくさんいたよ?」

「あなた!」

「本日は後継指名をいただき、ありがとうございました。お二人も邸に戻ってお休みください。」


俺は両親というより、総帥と社長へ挨拶をしその場を後にした。





「専務、本日はお疲れ様でございます。明日は10時にお迎えにあがります。」


マンションのエントランスで西田はそう言うと、一瞬眉を顰め俺を凝視したが、すぐにいつもの鉄面皮にもどり、礼をして下がった。

今日の俺の様子がかなりおかしかったのだろう。
よく最後までもったと自分でも思う。

俺は部屋に入り上着を投げると、タイを緩めて泥のような身体をソファに沈めた。
疲れた。
こんなにも疲れを感じたのは久しぶりだ。
そう言えば、夢であの女に会い始めてから、日常生活でこんなにも疲れを感じたのは初めてだ。

パーティーでの類を思い出していた。
ふっ、身に覚えのない八つ当たりをされて、類も災難だったよな。
でも類の顔を見た途端、俺の中に嫉妬の焔が立ちのぼった。
あの腕で女を抱きしめ、あの唇が女の唇に重なったのを見た。
そうだ、俺は見たんだ。
夢じゃなく、きっと本当に見たんだ。

なぜかそんな荒唐無稽な考えが浮かび、俺は初めてこの夢の不思議に疑念を抱いた。


今夜はもうあの女に会いたくなかった俺は、夢を見なくて済むぐらい深く眠ろうとウイスキーをストレートであおり続けた。
そしてそのままソファに横たわり、落ちていった。




***




邸で三条と茶してたら姉ちゃんが帰ってきた。
結婚してLAに住んでる姉ちゃんが帰ってくるのは3年ぶりだ。

姉ちゃんだけでも鬱陶しいのに、なぜかあの女も邸をうろついてた。
類と会った帰りだと!?
どこまで俺をコケにしたら気がすむんだ。
今度こそ痛い目を見せてやろうとしたが、姉ちゃんに邪魔された。

その夜、俺は決心した。

あの女も俺を裏切った類も俺は絶対に許さない。







校長に類と女の退学を命じたのに、またしても姉ちゃんが乱入して阻止された。
その姉ちゃんの命令で、バスケで決着をつける事になった。
なんでこうなるんだよ!姉ちゃんは関係ないだろ!
だが、姉ちゃんには逆らえない。

勝負は3on3
俺が勝てば女と類は退学だ。
類が勝てば退学はチャラだ。

F4のうちの3人vs類とその仲間たち。
こんなのやる前から勝負ついてるだろ。
でも、俺が類をひれ伏せさせることに意味があるんだ。
2人まとめて俺の前から消えてもらうからな。

だが俺はまだあの女に未練がある。
待ち伏せて交換条件を突きつける。
言え、俺を好きだと言え!
しかし俺がプライドを投げ打った賭けも女には通じなかった・・・


試合が始まった。
絶対に勝つ!

残り3分。
勝っただろ。
類、認めろ!
女を守るだと!?
ほざけ!

類のシュートが決まった。
あの女が類に明るい笑顔を向けている。
類が女にキスをした。
女がヘラヘラと笑っている。

許せねぇ。
嫉妬が渦巻く。

もう類に攻撃したいだけだった。
類を殴り倒してやりたい。
でも俺が攻撃するたびにファウルを取られ、フリースローになる。
その度に類が決めて、女は喜ぶ。

くそっ!
気づけば1点差まで迫られてた。
ボールは俺たちの手にある。
10秒でワンゴールなんて軽いはずだ。
勝てる。
なのに、俺は決められない。
女を追い出す決定打を加えられない。

唐突に俺は、もう何もかもどうでもよくなった。
急激に俺の中の何かが冷めた。

類への報復も投げ出すほど、俺は結局、女を完全に排除することができなかった。
学園からも、俺の中からも。

俺はそのまま街を彷徨い、誰かを殴ってスッキリすると、もう忘れようと決心して邸に帰った。









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2020.10.16
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