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カシャッ ピィ    カシャッ ピィ   カシャッ ピィ


『すごい!さすがね〜。ただの副社長じゃないわね〜。うーん、イイ男!!』

カメラを構えて司を狙うエマはずっと司を褒めている。
これが彼女のスタイルなんだろう。
被写体を褒めてノせる。

しかし司は複雑だった。
高校時代、一度としてつくしに容姿を褒められたことはなかった。
なぜなら彼女の好みは類だったから。
この完璧な美貌をもってしてもオトせない女だった。

『おい、気持ち悪いから褒めるのやめろ』
『そお?珍しい人ね。褒められるのが嫌だなんて。』

エマはアシスタントとカメラを交換しながら、視線を司に送りクスッと笑った。

ドキッ!

司の心臓が9年ぶりに跳ねた。


生きてたのか。
こいつは間違いなく、あの牧野だ。
俺の細胞がそう言ってる。


司は再会してからずっとエマを目で追っている。


変わらないが、変わった。
綺麗になってる。
大人になった。


『さっきから私の顔に何かついてる?』
『お前、出身はどこだ?』
『カナダのケベックよ』
『ケベック・・・』

そこは司の別荘から東に3000キロも離れた歴史ある都市だ。


見つからねぇはずだ。


『オリエンタル(東洋人)の一家なんて、珍しかったんじゃないのか』
『一家じゃなかったから。父と私の2人家族。』


カシャッ カシャッ ピィ   カシャッ ピィ


『2人?その父親もオリエンタルか?』
『ちがう。彼はフランス系の白人なの。私は養女よ。』

司はますます確信した。


遭難し、記憶を失くし、男の養女となった。
その男は何者だ?




その時、エレベーター到着の合図が鳴った。
中から秘書を伴った美麗な女性が現れた。

『ああ、来た来た。』
『Ms.ホワイト。今日はよろしくお願いしますわ』

女性がエマに笑顔で手を差し出す。

『ええ、こちらこそ。Mr.道明寺のウォーミングアップは上々ですよ。』

2人の女性は司を見ている。
司は女の方を睨み、エマに問いかけた。

『どういうことだ?』
『あら?聞いてないの?今日はこちらのMiss山神とツーショットの撮影なのよ。お姉さんには伝えたんだけど。』
『ツーショットだと!?』


姉ちゃん、わざと黙ってたな!
いや、待て。
それよりもこいつは姉ちゃんと面識があるのか?


『Ms.ホワイト、うちの姉と知り合いか?』
『いえ、顔合わせの時にお会いしたの。』


そうか!だから強引に俺に引き受けさせたのか。
そして山神のことは伏せて。
じゃないと俺は絶対に来なかった。


『撮影は依頼されたが、女性とツーショットは聞いていない。今日は帰らせてもらう。』

そう言うと、司は衣装を脱ぎ捨て、控え室へ向かった。

「司様!お待ちください。お姉さまとの取引なんですのよ。わたくしとのツーショット撮影を条件にカメリアの土地取得に便宜を図ったのですもの。」
「あ?カメリアのことなんて俺が知るか!写りたきゃお前がその秘書と写ってろ!」

司は冷淡な顔つきになり、蔑むような目を山神圭子に向けた。
エマが2人の視線の間に割って入る。

『ちょっと、ちょっと。何言ってるかわかんないけど、喧嘩はやめてよ!』

!!

日本語もわからないのか!?


司の頭から山神は消え、また晒されたエマの秘密で占められた。

『Mr.道明寺、この女性が嫌なの?それとも女が嫌なの?』
『この女だ。取り引きの材料に俺を使うような女の隣に立てるか。』
『ふむ。それもそうね。』
『Ms.ホワイト!これは契約ですのよ!?』
『オーケイ、じゃ、こうしましょう。Miss山神はMr.道明寺とツーショットが撮りたい。Mr.道明寺はMiss山神の隣には立ちたくない。いいわ。離れて立てばいいじゃない。』
『『 は!? 』』
『いいから、いいから。私も仕事なのよ。リリーに頼まれてるから、写真は上げなきゃならない。じゃ、そういうことで。用意して。』
『ちょっ、おい!』

あっと言う間に司は全身を黒でコーディネートされ、山神は白でコーディネートされた。

『はい、じゃあMr.道明寺はここね。で、Miss山神はここ。はーい、始めましょう。』

と言うと手をパンパンッと打ち鳴らし、スタッフたちに撮影開始を知らせた。




スタジオ内には流行りのポップスがかけられ、司と山神は3mも離れて立っていた。
それを前から横からエマが次々と狙っていく。

『Mr.道明寺!視線ちょうだい!それ!』
『Miss山神!顔、ちょっと右!そうそう。あなたすっごく美しいわ!』

相変わらずエマは被写体を褒めながら撮影していく。
次々に要求されるポーズに2人もついていくのがやっとだ。

しびれを切らせた司が上着を放り投げた。

『もういいだろう。十分だ。あとは勝手にしてくれ。』

そう言うと、今度こそ控え室に入っていった。







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2018.10.31
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| 2018.10.31(Wed) 17:34:43 | | EDIT