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やっと全員の受付が終わり、各控え室に備え付けられたテレビモニターを通じて説明会が始まった。
最初に画面に現れたのはプロジェクトリーダーを任されたという優しい顔をした50代半ばぐらいの男性だった。


『お集まりの皆様、本日はお忙しいところをありがとうございます。この度のプロジェクトリーダーを仰せつかりました遠山と申します。皆様のように優秀な方の中から我がプロジェクトにふさわしい方を選ばせていただけること、この上ない喜びです。』


遠山さんは深々と頭を下げた。
天下の道明寺HDの、一大プロジェクトを任されたにしては腰の低すぎるリーダーに一瞬、会場全体がざわついた。


『今回のプロジェクトは未来の道明寺の命運を左右する大変に重要なもので、これにはNYにおられるグループ総帥もにわかに御注目なさっておいでです。』


ここでざわつきは意味合いを変え、一層高まった。


『皆様におかれましては、どうか持てる力を存分に発揮いただきまして、背水の陣にて当たっていただきたいと存じます。何卒よろしくお願いいたします。』


最後にもう一度、腰より低く頭を下げると、遠山はフレームアウトした。

そんなにも重要なプロジェクトって一体、何をするんだろう??
そして1000人近いこの候補者の中から何人が選ばれるんだろう??
倍率はいかほど?
でも道明寺本社のメンバーが中心だろうからそう大人数が選ばれるとは思えない。
せいぜい4〜5人、もしかすると1〜2人かもしれない。

次にフレームインしたのは選定委員会委員長を名乗る女性だ。
それは先ほど、つくしが声をかけた女性だった。


『皆さま、長い時間お待ちいただいた方もいらっしゃるでしょう。この建物に入った瞬間から選定は始まっております。現時点で遅刻された方3名、ルールに異を唱えた方1名、そして先ほど体調を崩された方1名、計5名の方が落選されました。今後は本格的な選定試験の連続となります。緊張感を持って臨んでください。』

「「「はい! 」」」


若い女性の高らかな声がフロアに響いた。
つくしも背筋を伸ばしてその声に倣った。
正直、プロジェクト自体はどうでも良かったが100万もしくは社長秘書がかかっている。
採用は儚い夢だとしても、少しでも爪痕を残して奥田商事に戻りたかった。


『では早速、本日、第一次選考を行います。最初はペーパーテストです。』


ザワッ

そこここから囁きが聞こえた。


「よしっ! ペーパーは楽勝だわ!」

「えー、どうしよう〜、勉強苦手だったんだよねぇ」


候補者の条件は、

一、女性であること
二、25歳以下であること
三、未婚であること

であって学歴は条件には入っていない。
だから様々な職種から様々な経歴を持った女性が集められていた。

つくしは国立大学の英文学科を出ており、英語には自信があった。

就職試験みたいなのかな?
捻ったのや、トンチみたいな問題が出るの?
それとも小論文とか?
ひたすら計算だったりして。
英語の問題多めでありますように!

控室に試験監督がぞろぞろと入ってきて、室内の候補生に筆記具が配られた。


「携帯電話の電源はお切りください。5分後に問題を配ります。1時間でどれだけの問題をどれだけ正確に解けるかを問います。」


うわっ
やっぱり計算かもしれない。
ひたすら100マス計算とかだったら終わる・・・

5分後に配られたのはA4サイズのドリルのように閉じられた冊子だった。


「始め!」


バッと一斉に問題の表紙が開かれた。
その時、部屋中に息をのむ音が充満した。


「なに…これ…」


それは間違い探し問題だった。
100ページ、ひたすら2枚の絵が描かれて、片側は一部が違っている。
その間違いを探して丸で囲むというものだ。
ひとつの絵が何箇所違っているのかはわからない。
1個かもしれないし、5個かもしれなかった。

しめた!とつくしは思った。

これ、得意だ!
万年平社員のパパのおかげで休みはどこにも連れて行ってもらえなかった。
だからそういう日はクロスワードや間違い探しゲームをして遊んでた。
いつのまにか“ 間違い探しのプロ ” とママに言われてたんだっけ。
よっしゃー!

つくしは集中して次々とページを繰っていった。




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「奥様、あと10分ほどで御渡りでございます。」


島田さんの呼びかけにあたしはハッと意識を今に戻した。

“ 御渡り ” とは夫が妻の寝室を訪ねることを言うらしい。
この家では夫婦は別棟に住むことになっている。
夫は南棟、妻は北棟だ。
なんでも昔からの慣習だとか。
いやいや、何世紀前のことですか?
21世紀の現代において、こんな大奥みたいなことがまだ続けられていることに驚きを隠せなかった。

そういうわけで、夫が妻と過ごしたいときだけ “ 御渡り ” が行われる。
事前に知らされて、妻は準備をして待つらしい。
入浴で身を清め、身支度をして寝化粧をする。
部屋は洋風の作りなのに、寝衣は着物・・・
このチグハグ感。
ま、透け透け下着を着ろと言われるよりはいいか。


「奥様、くれぐれも粗相のないように。今夜を限りに二度と御渡りがないということもあり得ますからね。」


と、言われても今のところ相手の顔と名前しか知らないこの状況で、何が粗相になるのか見当もつかない。
ハァ、どうしてこうなったんだっけ?









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2020.02.03
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| 2020.02.03(Mon) 18:59:14 | | EDIT

Re: タイトルなし

二次小説大好き 様

コメント、ありがとうございます!!
新連載、喜んでいただけて私も嬉しいです。
司の花嫁につくしが選ばれる過程はとても悩みました。
説得力があればいいのですが。
長丁場の連載になりそうです。
最後までおつき合いください^^

nona | 2020.02.04(Tue) 16:37:36 | URL | EDIT