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 恋人がサンタクロース
  本当はサンタクロース
  つむじ風追い越して
  恋人がサンタクロース
  背の高いサンタクロース
  雪の街から来た


  あれからいくつ冬がめぐり来たでしょう
  今も彼女を思い出すけど
  ある日 遠い街へとサンタがつれて行ったきり



いつもママは機嫌が良いとキッチンで明日のお弁当のおかずを作りながら歌を歌う。
美声というわけじゃないけど、ママの歌はいつもどこか私を安心させてくれる。

私、道明寺瀬里、10歳。
小学4年生。
家族はパパとママ、それと、

「ねえちゃん!」「ちゃん!」
「えっ」

キッチンのママが見えるダイニングテーブルで宿題をしてた私の背後からヒョコッと顔を出したのは一卵性双生児の弟たち、誠と実。
5歳の2人は幼稚舎の年中さんだ。

「恋人ってなんだ?」「なんだ?」
「恋人ってのは好き同士で付き合ってる人のことよ。」
「好きどうし?」「好き?」
「そう。パパとママみたいにいつも相手を大好きって思ってる人たちのこと。」
「マコトとママとか?」「ミノルとママとか?」
「それは親子。恋人は他人だけど好きな人なの。」
「ふーん。」「ふーん。」

それだけ言うと2人はリビングを出て廊下を駆けて行った。
そこに内線がかかった。

「はい。」

ママが出る。

「はーい」

高い声はパパがもうすぐ帰ってくる知らせの証拠だ。

「瀬里、」
「うん、行く。」

パパが帰ってくる時は使用人も含めて一家総出でお出迎えする。
エントランスに並んで、みんなで「おかえりなさい」って迎えると、車から難しい顔をして降りてきた時もパパは笑顔になってくれる。

「誠と実は?」
「廊下に出てったからあっちで揃うと思うよ。」

私の言葉通り、並び始めた使用人の列の中に二人も混ざっていた。
そのうちにポーチに車が入ってきて、パパが降りてきた。
執事が開け放った扉からエントランスに入ってきて、私たちを確認したらほらね、笑顔になった。

「「「おかえりなさいませ」」」

居並ぶ全員で挨拶をする。
そしたらパパはまず最初にママに歩み寄ってその額にキス。
そして次に私の頭にもキスをしてくれて、誠と実には頭をクシャッと撫でる。

「パパ、俺にもチューして!」「して!」
「男にはしねぇよ!」

こうしていつも2人のガキンチョに纏わり付かれながら部屋に向かうのがパパの日課だ。

パパは本当は忙しいんだけど、家族の時間も大切にしたいからって私たちに合わせて帰ってきてくれる。
そして私たちが寝てから書斎で仕事をしてるんだって。

パパが帰るとダイニングで夕食。
お弁当はママが部屋のキッチンで作るけど、普段の食事は邸のシェフが作ってくれる。
それを8人掛けのテーブルに5人で座っていろんな話をしながら食事をする。

「それで、3人はサンタに何を頼むのか決めたのか?」

もうすぐクリスマス。
この時期になるといつもパパは尋ねてくる。
だけどママにパパには前日にならないと話しちゃダメって言われてる。
パパに話したらサンタさんより前にパパがプレゼントしてくれちゃうから。
そしたら用意してくれてたサンタさんが困っちゃうからって。
同じものを2つはいらないものね。

「ううん、まだ。ギリギリまで悩むんだ。」
「悩まなくてもいいだろ。欲しいものは全部頼めばいい。」

これもママからはひとつだけって言われてる。
じゃないと、世界中の子供達にプレゼントを配るサンタさんのソリがいっぱいになっちゃうからって。

「うん、サンタさんに頼めなかったものはパパにお願いするね。いいでしょ?ママ。」

ママを見ると困った顔をしてる。
でもパパと一緒にお願いって顔をして見せるとため息をついた。
ママは私とパパの『仔犬みたいな表情』に弱い。
もともとはパパがこの技を編み出したんだけど、パパ似の私でも通用する。

「ハァ…わかったわよ。だけどひとつだけよ。」
「うん! ありがとう、ママ、パパ。」

クリスマスにはNYのおじいちゃまやお祖母さま、そしてLAの椿伯母さまや牧野のお祖父ちゃんとお祖母ちゃん、進叔父さんからもプレゼントが届く。
そしてクリスマス当日はパパやママの親友家族も含めて皆でパーティーをして、そこでもプレゼント交換をするのが毎年恒例なの。
だからサンタさんには何を頼むか迷うんだよね。

「お前らは?」

パパが双子にも尋ねた。
あの2人の欲しいもの、知ってる。
確か、サンタが乗ってるソリ(トナカイ付き)だったよね。
それで空を飛びたいって2人でヒソヒソ話してたんだよ。
なんて考え事をしていたら誠がとんでもないことを言い出した。

「サンタってパパ?」
「「は?」」

パパとママが同時に顔を上げて振り向いた。

「パパはサンタさんなの?」

実まで言い出した。

「な、何言ってんだ! パパがサンタなわけないだろうがっ」
「そうよっ! サ、サンタさんは遠い北の国に住んでるのよ。パパがサンタさんなわけないから!」

誠と実が突拍子もないこと言うから、パパもママも驚いてアワアワしちゃってる。
そりゃそうよ。
サンタさんがパパだなんていう子もいるけど、それは嘘。
サンタさんは信じてる子のところに来てくれるの。
パパだなんて言う子はきっと信じてなかったからパパからしかプレゼントをもらえなかったのよ。
だから自分のパパがサンタだなんて思い込むんだわ。

こういうときは私の出番。

「誠、実、幼稚舎で何か言われたの? サンタさんはいないとか?」
「言われてない。」「ない。」
「サンタさんはね信じてないと来てくれないのよ? 来てくれなくてもいいの?」
「いい!」「いい!」
「じゃ、プレゼントもらえないわよ? いいの?」
「やだ!」「やだ!」
「だったら来なくていいなんて言わないの。信じてないとプレゼントもらえないんだからね。」

私の言葉に誠と実が顔を見合わせてシューンと俯いた。

「わかったらいい。ほら飯終わったんなら風呂入るぞ。」
「「はーい!」」

食事を終えたパパが双子を連れてダイニングを出て行った。









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2019.12.22
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| 2019.12.22(Sun) 20:57:09 | | EDIT

Re: タイトルなし

つくしんぼ 様

お忙しい中、コメントありがとうございます!
坊ちゃんの坊ちゃんたる所以
それは「思い込みの強さ」
その思い込みのが吉と出るか凶と出るか、ですね(*^▽^*)

坊ちゃん、頑張れ!

nona | 2019.12.23(Mon) 12:43:30 | URL | EDIT