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12月の半ば。
互いの肌に触れるというスキンシップをするようになり、つくしはあることが気になっていた。
それは手荒れだ。

冬になって家事にお湯を使うようになると毎年、手が荒れてくる。
例年はハンドクリームをつけて、あとは多少荒れていても気にならなかったが、司に触れるようになってから少しのことも気になるようになった。

ガサガサした手で触れれば痛いのではないか。
あの、男のくせに肌理の細かいスベスベした肌に傷をつけるのではないか。

だからつくしは職場でも家でも、いつもよりも頻繁に、なおかつ念入りにハンドクリームをつけていた。




ある日、お風呂上がりにハンドクリームのチューブを手にしたつくしに司が心配げに聞いてきた。


「日に何度も使ってるけど、手、そんなに気になるのか?」

「あ、うん、冬場はどうしても荒れちゃってさ。ストッキングとか電線しちゃうんだよね。はは。」

「ふーん。じゃ、俺にも。」

「え? 道明寺も?」

「前につけてくれただろ。」


それは一緒に暮らし始めて間もない頃。
初めての家事で手が荒れた司につくしがハンドクリームを塗り込んでくれた時のことだ。
あの時はまだ告白もしていなくて、つくしを好きな気持ちを隠していた。
でも今はもう両想いで、肉体関係は無くとも触れることはできる関係だ。
多少、ムラムラときても、それを気取られても問題はない。
・・・いや、あとで苦しむかもしれないが、つくしと触れ合えるなら・・・それでもいい。

向かい合ってコタツに入り、司が手を出し「ん」と促した。
つくしは「フゥ」と息を吐き出し、仕方ないなぁといった面持ちで司の手にハンドクリームを塗り込んでいった。
手の甲、手のひら、指の一本一本、左が終われば次は右。


「……………」

「……………」


なんだろう、この感覚は。
ハンドクリームを塗ってあげるだけの行為なのに、なんだかソワソワと落ち着かない。
チラリと視線だけで向かい側の司を見上げると、司はじっと手を見ている。
司の手につくしの手が組んず解れつ纏わりつく様子を見下ろしていた。
ハッとしてつくしは手を離した。


「あ、あとは自分でやって。」


つくしはハンドクリームを司に押し出すと、自分の手はコタツに仕舞い込んだ。
すると司は、自分の前に置かれたハンドクリームを手に取った。


「今度は俺が塗ってやるよ。」

「へっ!?」

「ほら、手ぇ出せ。」

「いやっ、いやいやいや! いいよ、あたしは自分で塗ったから。」

「…なんか顔赤いけど、どうした?」


司がニヤリと口角を上げ、つくしの表情を伺ってくる。


「お前がしてくれたからお返しだ。別に手だろ? 何を意識してんだ?」

「いっ意識なんてしてないわよっ。何言ってんのよ。そんなにしたけりゃどうぞ!」


司の挑発に乗り、つくしは手を出した。
その手にクリームを乗せて、司の大きな手が包んだ。
両手でつくしの手のひらを揉むように刷り込んでいく。
細い指の表面は束ねて塗られたが、指の間は司の指が組むように合わされ、何度もスライドされた。

司の長い指がつくしの指の間を行き来する感覚がなぜかつくしの体温を上げていく。
手に向けていた視線を司に移すと、熱のこもった瞳とぶつかった。
その瞬間、つくしの身体が一気に朱に染まり、強引に手を引っ込めると、コタツをひっくり返す勢いで立ち上がった。


「ね、寝る! おやすみっ!」


飛び込むようにベッドスペースに入り、布団を頭から被った。
しかし部屋の明かりを消した司がすぐに入ってきた。
壁ギリギリまで身を寄せているつくしを今夜も背後から抱え込み、その耳元で甘く低く囁いた。


「どうした?…感じたか?」


その瞬間、ゾワゾワゾワッと何かがつくしのミゾオチを駆け上がった。
そして司が後ろから首筋に顔を埋め、左手は服の上からつくしの腿に触れた。


「…ど…道明寺、今夜はやめて…」


弱々しいつくしの声が聞こえる。
でも司はやめない。
弱い声しか出せないのは感じている証拠だ。
この機を逃すわけはない。


「なんで? 触れるだけだ。それ以上はしない。」


腿を撫でていた左手がトップスの裾から入り込み、つくしの腹部に直接触れた。


「あっ…やっ…」

「牧野、こっち向け」


つくしは肩を掴まれ強引に振り向かされた。
潤んだ瞳ははっきりとは開けていられずに切なげに細められ、司を見上げている。
直に腹部を撫でていた司の手が、今後は背中に回るとつくしはギュッと目を閉じ、さらにゾワゾワとした感覚に襲われた。


「牧野も…」


その囁きに呼応してつくしも司の服に手を入れ、その背を撫で始めた。
しかしその手はすぐに引っ込められた。


「牧野、やめるな。」

「でも…手が…」

「手がどうした?」

「荒れてるから、痛いかも。」

「お前、それで気にしてたのか。」


司はつくしが隠した手を取った。


「ンなに荒れてねぇじゃん。大丈夫だろ。」


そう言って自身の背中に導いた。


「でもっ」


つくしの言葉を遮るように、チュとキスをする。


「お前がくれるものなら、例え痛みでも俺は感じちまうだけだ。だから…触れてくれ。」


そうしてつくしの背をグイと引き寄せ、今度は甘えるように唇を重ねた。









14日、15日の更新はお休みします。

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2019.08.13
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| 2019.08.14(Wed) 11:37:02 | | EDIT

Re: タイトルなし

チビネコママ 様

コメント、ありがとうございます!
「ハンドクリーム 1」で手も性感帯だと知った司からの逆襲でした^^!
つくしも、前ならそんなの気にならなかったんでしょうけど、
触れ合うようになったからさすがに思うところがあったと思います。

手って見ますよね〜
私は何フェチかなぁ。顎のラインかなぁ。
鎖骨も好物だなぁ

台風、結局は直接はどんな程度かわからなかったのですが、
ちょうどお盆時期で巻き込まれた方は大変でしたね。
自然には勝てませんね。

nona | 2019.08.17(Sat) 13:34:25 | URL | EDIT