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3人で居酒屋の座敷の個室に入り、注文した酒と料理が運ばれてきた。


「おつかれー」

「おう」

「…ああ」


4人掛けの掘りごたつ式の座卓に俺とつくしが隣り合って座って、目の前に悠介がいた。
掲げるだけの乾杯をして飲み始めて、俺もつくしもどこから何から話していいのか思案してた。
そしたら悠介が口を開いた。


「やっぱ俺、お邪魔だよな。これ飲んだら帰るから。」


俺とつくしは目を見合わせて、俺から先に話すことを通じ合わせた。


「あのさ悠介、俺たち、付き合ってないんだわ。嘘ついててごめん。」


俯き加減だった悠介は顔を上げた。


「は?」

「俺とつくし、最初から友達なんだよ。」


つくしもコクコクと頷いてる。
そんなつくしと俺を見比べるように悠介がキョロキョロとした。


「お前がさ、前に言ったろ。「牧野つくしって良いよな」って。それで興味出てさ、探したんだよ。お前が好きになる女ってどんなかな? って。そしたらこいつ地味だし、勉強とバイトしかしてねーし、ますますわかんなくなって、何度も会いに行ってるうちに周囲から彼女だってことにされててさ。後に引けなくなっちまって・・・。嘘ついててごめん。」


俺は座ったまま頭を下げた。
こいつの好きな女、横取りしたようなもんだもんな。


「…マジかよ…」

「うん! マジマジ。あたしも友達だとしか思ったことないし。でも順だけが悪いんじゃないから。あたしも悠介にわざわざ本当のこと言う必要ないかなって思っちゃったから、だから怒るならあたしにも怒ってよね。」


つくしは、マジでお人好しだった。
全ての元凶は俺なのに、本当なら悠介と一緒に俺に怒っていい立場なのに、俺と一緒に怒られてくれるって、お人好しが過ぎるだろ。

俺たちの告白を聞いた悠介はしばらく固まってたが、おもむろにグラスを置いた。


「・・・・・つくしがF4の道明寺司の彼女だったことは知ってた。」

「えっ!!」

「F4…道明寺って、道明寺ってF4なのかよ? それでお前はこの前「F4って知ってるか」って俺に聞いたのか?」

「ああ、そうだ。順がつくしの彼氏としてつくしのことをどれほど理解してるのかわからなかったから。」

「お前は、どこまで知ってんだ?」


俺もつくしも固唾を飲んだ。


「きっと、全部知ってる。俺は中学の時からF4のファンだったんだ。」

「ファン…て…」


待て、F4って男ばっかだよな?
男の集団のファンだったのか?
ストレートでもそういうことあるんだな。
女が宝塚好きみたいなもんか?
ああ、あれか、オッサンどもが矢沢永吉好きみたいなもんか。
違うか??


「と言っても時々掲載される雑誌を見るくらいだった。あれは俺が高2の時だ。つくしも高2。道明寺司とつくしの記事が世間を騒がせたことあったろ。天草清之介とバトルになったって。あの時だ、つくしのことを初めて知ったのは。」

「ああ、そんなこともあったっけ…」

「F4のリーダー、ひいては英徳学園の王で日本で一二を争う財閥の御曹司。そんな男が惚れる女ってどんなかと思ったら、とんでもない貧乏長屋に住んでてさ。シンデレラガールって騒がれたよな。」

「あー、忘れもしないわ。あの時は本当に迷惑だった。」

「そしたらつくしがティーン・オブ・ジャパンに出てきてびっくりした。」

「お前、ティーン・オブ・ジャパンまで見てたのかよ。」

「あたしの黒歴史だから忘れて欲しいんだけど。」

「・・・・んで、準優勝してさ。二人は順調なのかと思ってた。そしたら道明寺さんが拉致られたって騒動になって、それからのことは知らなかった。学部のヤツが話してるのを聞くまでは。」


“ あの貧乏女さ、道明寺さんに忘れられて棄てられてやんの。身の程知らずだったんだよな。 ”


「んだよ、それっ!」

「順、いいから。」

「同じ大学にいるとは知らなかった。俺も興味が出てつくしのことをちょくちょく見に行った。学祭で初めて会ったってのは嘘。その前から知ってた。」


やっぱり悠介はつくしが好きだったんだ。


「噂通りの、金持ち男に媚びを売る女なのか? そんな女にあの道明寺司が惚れるか? と思いながら探したら、つくしは誰よりも地味で、誰よりも勉強してて、誰よりも一生懸命生きてた。」

「フッ、他にすることがないだけだよ。買いかぶりすぎ。」

「紹介された時、順の彼女がつくしで驚いた。お前はまだ道明寺さんを想ってると思ってたから。いや、そう思いたかった。もしかして忘れるために順を利用してんのかとも思った。」

「悠介、こいつは、」

「順、待って。」


身を乗り出した俺をつくしが制した。


「想ってるよ。今でも好きだよ。だから順と友達になった。順ならあたしを女として見ないと思ったから。」


悠介がつくしのあの強い光の宿る瞳を見た。
二人は見つめ合った。
俺は見てられなくて顔を背けた。


「じゃ、俺とも友達になれるね。」

「ん。」


つくしの穏やかな声が聞こえた。
きっとニッコリと微笑んでんだろう。

悠介はつくしを諦めるつもりだ。
好きなヤツを諦めることなんてできるのか?

俺は顔を背けた先にあった壁紙の模様を目でなぞりながら思った。










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2019.04.17
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| 2019.04.17(Wed) 18:18:04 | | EDIT

Re: ようやく言ってくれた

Rei 様

コメント、ありがとうございます!
ご友人、大変だったんですね。思い出してよかったです><!
そうなんですよね。この視点の作品て少ないなーと思いまして。
普通に考えたら司こそ被害者なんで、一度、つくしにガツンと言うキャラがいてもいいかなと。
この「再確認」は全17話です。
平成の内には終わります。

nona | 2019.04.18(Thu) 17:03:45 | URL | EDIT