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私と壮介にはパパが2人いる。
私の本当のパパは順パパで、ママは悠介パパの妹の悠依ちゃん。
壮介の本当のパパは悠介パパで、ママは順パパのお姉さんの恵伯母さん。
でも悠依ちゃんも恵伯母さんも私達を姪とか甥だと思ってて、それ以上の感情はないみたい。

だから私達にはママはいない。
…はずなんだけど、つくしさんをママって呼んでる。
それは私達を産んで、育ててくれてるから。

つくしママは他の家のママみたいにご飯を作ってくれて、パパたちの帰りが遅いときは一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝てくれたりして育ててくれた。
どちらかのパパが帰ってきたらバトンタッチ。
だけどご飯のことだけはパパたちがいてもママがしてくれる。

ママが本当のママじゃないって聞かされたのは小学校に入る少し前だった。
それがどういうことなのかまだよくわからなかったけど、本当のママじゃないけど、どこにも行かないよって聞かされてそれならいいかって思ったことを覚えてる。

それからだんだんとママが本当のママじゃないっていう意味がわかってきて、うちが他のお家とは違うってこともわかってきた。
他のお家にはパパは一人しかいないし、『パパたちの日』なんてものもない。
それにパパはママとキスするんだって。
うちはパパ同士がしてる。
おやすみ、とか、行ってきます、って言う時なんか。

一度、ママに聞いたことがある。
ママはパパたちとキスしなくて寂しくないか?って。
だってパパたちは私にも壮介にもするのに、ママにだけはしないから。

そしたらママは、寂しくないよ。だってキスしなくても仲良しだもん。って答えた。

それが小学校2年生の時。
4年生になって、10歳の誕生日に、つくしママがママじゃない本当の理由を聞かされた。
パパたちが愛し合ってるから、ママのお腹を借りて私を産んでもらったんだって。
順パパも悠介パパもつくしママも私に会えてとっても幸せだって言ってくれた。
そう言ってもらえてとても嬉しかった。
だから、言ったの。
私も将来、困ってる人がいたら代わりに赤ちゃんを産んであげたい!って。
でもそしたらパパたちもママも困ったような顔になった。
そしてママが言ったの。
「もちろん、それもとってもいいことなんだけど、でも清佳は世界で一番愛してる人の赤ちゃんも産めたらいいね。」って。

そのとき思った。
ママも世界で一番愛してる人の赤ちゃんを産みたかったのかな?って。


そして私が5年生になって、ママが世界で一番愛してた人が現れた。

道明寺さん。

いきなり現れて、次の日にはママの彼氏になっちゃって、その日からこの家で暮らし始めた。
そしてその4ヶ月後には道明寺さんはママと結婚して、ママは道明寺つくしになった。
なぜなら、ママのお腹にはママが世界で一番愛してる人の赤ちゃんができたから。

そしたらいつのまにか道明寺さんを「司パパ」と呼ぶことになっちゃって、正直、戸惑った。
それもこれも、ちょっとお調子者なところがある順パパが司パパを「つかっさんパパ」なんて呼んだせいだ。
それを聞いた壮介まで道明寺さんを「つかっさんパパ」と呼んだのをきっかけに道明寺さんがブチギレちゃって、二人は説教される羽目になった。「似た者親子だな!」って。
それから道明寺さんのことは「司パパ」と呼ぶことが我が家で制定された。






土曜日の今日、学校はお休み。
ゆっくり寝てていいんだけど、私はママを応援するって決めたんだから、できるだけママを助けなきゃ。

ママと一緒に朝ごはんを作ろうとリビングに入った。
そしたら、キッチンで司パパがママにぴったりとくっついてて、私はママに近づけない。
司パパは順パパくらい背が高くて、近くにいると私の視界には入りきらないから顔をよく見たことがなかった。
仕方なくダイニングに座って頬杖をつきながらキッチンの中の二人を眺めた。
ママは最高に優しい顔をしてる。
そして初めてちゃんと見た司パパもカッコいい顔でニコニコしてて、優しそうだった。

二人がとってもお似合いで、幸せそうで、私は・・・・・腹が立った。

ママの一番は司パパじゃないよ。
私と壮介だよ。
教えてあげなきゃ。


「ママ!」

「あ、清佳、おはよ〜!」

「ママ、おはよう。朝ごはん、お手伝いするよ!」

「清佳〜! ありがとう!」

「うん! ママを応援するって決めたもん。女は私だけなんだから何でも言ってね!」

「なんていい子なの〜。清佳、大好き〜」


ママがギュッて抱きしめてくれた。


「司、あっちで座ってて。」


ママが司パパをキッチンから追い出した。
ママの隣は私がキープ。
ふふん、どうだ。



********



入籍して1ヶ月、最近、帰っても部屋につくしがいない。
俺が帰ると、部屋のデスクにメモがある。


『清佳と寝ます。ごめんね。』


11歳にもなって母親と寝るとか赤ん坊かよ。
それを許すつくしもつくしだ。
俺は物心ついた時から一人で寝てたから、気持ちが全くわからない。


清佳が俺に対して対抗意識を燃やしてるのはなんとなく感じてた。

先日のことだ。
いよいよつわりが始まって寝込んでたつくしに何か食べられるものを買ってこようという話になり、5人で近所のスーパーへ。

つくしは何が食べたいだろうか、いや、あいつは何でも美味そうに食うやつだと手当たり次第にカゴにポイポイ入れていたら清佳がいちいちダメ出しをしてきた。
挙句には、


「ママはね、きっとこれが食べたいはずよ。私はママが好きなもの知ってるから。」


と俺に向かって得意げな顔をして見せた。
でもその言葉は悠介によってやんわり否定された。


「つくしは清佳の時はネギがダメになってグレープフルーツばかり食べたがって、壮介の時は飯の匂いがダメになって甘いものばかり食べたがった。今回は何がダメなのか、何が食べたいのかまだわからないからいろいろ買っていこう。」


結局、今回のつくしはコーヒーの匂いがダメになり、肉ばかり食べたがるようになった。
仕方なく家ではコーヒーを控えている。
妊娠て大変だな。

つくしはつわりがひどくなり始めた頃から、清佳といっしょに寝るようになった。
清佳が寂しいから一緒に寝てほしいと言ってくるらしい。
つくしは、


「赤ちゃん返りかも。複雑な家庭だから、寄り添ってあげないと」


って言ってるが、それが甘やかしなんじゃねぇーのか?
付け上がってんだろ。

とにかく、つくし不足だ。
ちょっと体温が高くなってポカポカしてるあいつを抱きしめて寝るのが、俺の秋の夜長の唯一の楽しみなのに。
こう続くとガキだからって容赦しねぇーぞ。


つくしのいない夜は風呂上がりにベランダに出て酒を飲む。
今夜は先客がいる。


「あ、おかえりなさい。」

「よう、珍しいじゃん。お前がこんな時間に起きてるなんて。」


順もグラスを手にベランダから眼下の家並みを眺めてた。


「どうした? なんかあったか?」


順と悠介は俺にとって友達ではない。
かと言って他人てわけでもない。
大切なつくしを長年、預かってもらってた信頼できる隣人って感覚が一番近いか。


「清佳がすみません。司さんに対抗意識燃やしてるでしょ?」

「あー、みたいだな。母親を俺に取られたって感じてるのかもな。」

「でしょうね。この家の中で二人だけの女同士、特別な感情があったんでしょうが、つくしとあなたの強烈なつながりを見て何か危機感が芽生えたんでしょうね。」


順がクッとグラスを傾けた。


「ま、子供のことはよくわかんねぇが、つくしにとっては清佳と壮介が一番だ。俺には入り込めない絆だな。」

「その絆を赤ちゃんに奪われると感じてるのかも。つくしと血の繋がった子供だから。」

「フッ、つくしはそんな女じゃない。俺があいつと一緒にいられたのは再会してからの今日までを含めても1年半に満たない。でもあんたは15年も一緒いるんだ。わかるだろ。」

「ええ、そうですね。つくしはド級のお人好しだ。でもね、司さん、我が子ってのは理屈じゃない。あなたにもわかる時が来る。血ってのは超えられない。あなたの知らなかった幸福の扉を開いてくれる。そうしたらあなたはつくしも子供も独占したくなるでしょうね。ここを出て行きたくなるんじゃないかな。」

「お前も不安になってんのか?」

「はは…そうかもしれません。」

「NYではLGBTのカップルが代理母に子供を産んでもらうって話はよく聞いた。でもほとんどの場合は子供を代理母から引き取ってカップルだけで育ててる。あんたと悠介はなぜそうしなかった?」

「・・・条件だった。“ 産んだ後も共に暮らす ” つくしが出した条件だ。」

「つくしが?」

「つくしからこの15年のことは?」

「まだ。」

「そうですか。あなたに俺たちの15年を知ってもらう時が来たみたいですね。」









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2019.04.13
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