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「ギャーーーー!!! な、なによ、これ!!」

「つくし、後ろもすごいぞ。なんか、怒らせたのか?」


顔を洗おうと洗面に入り、ブラトップ姿になって髪を束ねて鏡に写った自分を見て悲鳴をあげた。
首! デコルテ! 胸元!
あちこちにキスマークが散ってる。
夏場だから虫刺され? なんつって、だとしたらあたしはどんな藪に首を突っ込んだのよ!

そこに悠介が入ってきてからかわれた。
あんのエロくるくる野郎!!


「やっぱさ、こんな時が来るかもって部屋の壁を厚くしておいて良かったよな。お前の声、うるさそうだもんな。」

「ちょっ! なんの話よ!」

「17年ぶりに会えた恋人同士か。しかも相手があの男前ならそりゃ毎晩、激しくもなるよな。」


朝の話題じゃないでしょ!

あたしはもう一度パジャマをきっちりと着込んで襟を立て部屋に戻った。
とてもじゃないけど、子供達に見せられない。

部屋に入ってあたしはまだ寝てる男を叩き起こした。


「道明寺! 起きて、起きなさい!」


手が伸びてきてベッドにひきずりこまれる。
あたしに抱きついて胸を枕がわりにまた寝てる。
・・・そりゃね、あたしもこういうとこ可愛いと思ってしまうわけよ。
母親となり、男性経験も経た今は17年前より母性が強くなって、こうして甘えられるのも嬉しかったりする。

クルクルの巻き毛を撫でる。
正直、この人がこの胸に還ってきたことがまだ信じられない。
現実味がない。
朝、送り出して、そのままあたしのもとには帰ってこないんじゃないかと思ってしまう。
だから起きて待っていたりしたくない。
これまでの生活を変えたくない。

何度も夢を見た。
帰ってきてくれて、「もうずっと一緒だ」って言ってくれて、抱きしめてくれる。
でも夢は覚める。
覚めた時の虚しさ。
最初の数年はかなりキツかった。
子供を産んで可愛くて、育児が大変で、何年か見なかったけど、待つ期限と決めた10年目が近づいてまた頻繁に見るようになった。
10年が早く過ぎてほしい気持ちと、まだ来ないでほしい気持ち。
そして10年目を迎えた日、解放されたと感じた。
自分の人生が自分の手の中に戻ってきた。
そんな感慨があった。


「何を考えてる?」


クルクルが喋った!


「…なにも。何も考えてない。」

「俺のことを考えろよ。」

「それは7年前にやめた。」

「・・・やめて、別の男のことを考えるようになったか?」


さあ、起きないと。
クルクルを引きはがし、ベッドから出た。


「仕事でしょ? あたしも10時にはここを出るから。明日は17時以降なら帰ってきて大丈夫。」


着替えを持って部屋を出た。



********



土曜日、オフィスで牧野に付けたSPからの報告を受ける。

10時にマンションを出て実家に帰った。
15時に一度出て近くのスーパーへ。
そして19時にまた出た。


「服装は?」

『スタンドカラーの黒のノースリーブタイトシルエットのワンピースです。髪はアップにしています。』


待ち合わせはバーか。


「どこに向かってる?」

『新宿御苑です。』

「店に入ったらまた報告しろ。」

『かしこまりました。』


牧野、俺にそんな資格がないのはわかってる。
だがな、お前はどこまでも俺のもんだ。


「茂木、俺はオフだ。」


今夜はスーツのままオフィスを後にし、新宿御苑に向かう。
SPからまた連絡が来た。


『店の前で待ち合わせていた男とバーに入りました。』


グッと拳に力が入る。


「わかった。」


店の前に到着し、頃合いを見て店に入ろうと入り口が見える場所に車を停め、出入り口を注視する。
と、入ったと連絡を受けてから程なくして出てきた。
店を変えるのか?
それともこのまま・・・

車を降りようとドアに手をかけた。
が、牧野と男は手を振り、左右に分かれた。
牧野はそのまま大通りに向かって歩き出した。
どういうことだ。

SPが牧野を追う。
報告を待つ。


『タクシーで飯田橋です。またバーに入り、男と話しています。』


なんだと!?
2人目?

報告のあった店に向かう。
様子を伺っているとまた1時間足らずで出てきた。
そして男が牧野を抱きしめ、牧野が男から離れ歩き出す。
男はその後ろ姿を見つめていた。


『次は麻布です。』


まさか、まだいるのか!?

牧野はまたバーに入り、3人目の男とカクテルを1杯飲み、そして男を置いてまた店を出た。


『駅に向かっています。』


このまま帰るか?
俺は駅に先回りして牧野を待った。

信号を渡り、牧野が現れた。
と、そこに一台のポルシェが滑り込んできた。

牧野をエスコートするために降りてきた男に、俺はこいつが本命だと確信した。









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2019.04.08
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