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な、なんで?
どうしてこうなったんだっけ??


目が覚めてもまだ部屋の中は真っ暗で、寝返りを打って時計を見、、見、、見えない!!
重い!
と、思ったら胸の上に長くて逞しい腕が乗ってる。
え! と横を振り向いたら昨日、17年ぶりに見たクルクルが目の前にあった。

・・・えーと、ヤっちゃった??
ヤっちゃったよね?

あーあ、展開早すぎ。
あたし、何してんのよ。

腕を押し退け起き上がる。

はぁぁぁ〜、腰にスカートだけ巻きつけて、ヤラしいカッコ。
寝息を立ててるこいつは普通に服着てんのに。

なんか、ムカムカしてきた。
あたしばっかり翻弄されて、あたしばっかり動揺して。

・・・ま、ヨかったけど。

あたしも17の小娘じゃない。
はずみで寝たからって右往左往するほどもうウブでもない。

改めて時計を見たら午前2時だった。
今日は水曜日。
仕事は休みだ。

シャワー浴びよう。
散らばった服をとりあえず着ようと起き上がった。
と、何かが流れ出てきた。
マジかい!?
出したの?
このアホ!!
妊娠したらどうすんのよ!
・・・って、それこそ、結婚するって言うんだろうな。

いつのまにか達観することを覚えた。
考えても仕方ないと着替えを持ってバスルームへ。



熱いシャワーが心地いい。
はぁ、これからどうしよ。

一応、再会した初日に流されたくなくて抵抗したけど、でも結局はあたしもシたかったんだろうな。
「あの日の続きをしよう」って言われて抵抗することに迷いが生まれた。

” チャンスは一度しかない ”

この17年であたしが学んだのはその一点だ。
” 次 ” はない。
だから本気で抵抗できなかったし、その瞬間はそれだけでイキそうになるぐらい、今までの経験で一番ヨかった。

でも、カラダは盛り上がったけど、気持ちはどうだろう??
あの頃に戻るとか戻らないとか、やり直すとか直さないとか、どーでもいい。
今のあたしに一番大切なのは子供達だから、その他のことに食指が動かない。

あー、面倒くさいな。
いいや、また寝よ。



真っ暗な部屋に戻ると道明寺は起きる気配がなく熟睡してる。
7畳ほどの広さのあたしの部屋にあるのは、子供達と寝てた名残のダブルベット。
今も壮介が熱を出したり、清佳が寂しがったりしたら一緒に寝てる。

仕方ないからベッドに入る。
横の大男から熱が伝わる。
懐かしいあの香りもしてる。

こいつは仰向けになって寝てるから腕があって胸には寄れない。
腕でもいいか。
肩にコツンと額を寄せて、手をそっと握ってみた。
眠くなってきてそのまま目を閉じた。








……ん…
やめて…ダメ…
あ…はぁん…


パチッ


ガバッ!!


????


え、なに?
なんか変な夢見ちゃった。
やだ、あたしったら。

ん? んん!
見ると、パジャマのシャツの裾から長い腕が伸びて・・・


「ちょっと! なにしてんのよ!」

「チッ、起きたか。何って乳揉んでんだよ。」

「ち、乳!?」


ビジュアルを裏切るそのボキャブラリーのチョイス!!
そっちにたじろぐわ!


「やめなさい!」


まだ胸にある手をぐっと掴んで下ろそうとしたら、スルッと自分から下ろした。
と、思ったら今度はパジャマのズボンの中に入ってあたしの腿を撫でた。


「やめーい!!」


動き回ろうとする手を抑える。


「なんだよ。触るぐらいいいじゃん。」

「触るだけで終わらないでしょ!」

「お前が終われなくなるんだろ?」


道明寺がニヤリとした。


「昨夜はヨかったよなー。お前も相当、乱れてたし。」

「・・・」


反論はできない。

隣の男をチラリと見ると、ベッドに片肘をついて、起き上がったあたしを見上げてニヤニヤしてる。
悔しいから道明寺の耳元に唇を寄せて囁いた。


「そんなにヨかった? あたしも道明寺の、すっごくヨかったよ。」


上体を起こして道明寺を見たら赤くなって固まってた。
あんたの方がウブじゃん。
こいつの中で、あたしはまだ17のままなんだろうな。
あの頃のあたしからしたらこんな発言、あり得ないもんね。

道明寺が動き出す前にベッドを飛び起きた。


部屋を出てキッチンに入る。
本当は着替えたいんだけど、あの部屋に長居は無用。
悠介が起きてきた。


「はよ。道明寺さん、あの後どうした?」

「あー・・・」

「フッ、もしかして・・・」

「いいから、それ以上言わないで。」

「いいじゃん。大人なんだから。」

「勢いよ、勢い。」

「俺は嬉しいよ。つくしがずっと好きだった人でしょ。」

「ずっとっていつの話よ。7年前にはケリつけたわよ。」

「つまり10年も好きだったんだよね。執念深いね。」

「うっさい!」


朝食の用意をしてると、清佳が起きてきた。
清佳は小学5年生。
しっかり者のお姉さん。
小3の壮介はあたしが起こさなきゃ起きない。
ギャング世代とか言うけどまだまだ手がかかる。


「壮〜、朝だよー。」

「・・・」

「壮介は今日も可愛いなぁ。チューしちゃおうかなぁ」


ゴソゴソ…


「やだ…」

「じゃ、起きなさい。本当にしちゃうわよ。」


男の子はもうベタベタしてくれない。
こんなもんかな。寂しいなぁ。


ピンポ〜ン


ん?
朝の6時半に誰??
インターフォンに出ると、スーツを着込んだ男性。
こんな朝っぱらから勧誘??

と思ったらあたしの部屋から道明寺が出てきた。


「わっ! おじちゃん、ママの部屋に泊まったの??」


マズイッ! 見られた!


「お客様だからね、ママの部屋のベッドを貸してあげただけ!」


これ、取り繕えてる??

道明寺は無言でマンションを出て行った。
なんか一言、言いなさいよ。
挨拶するとか、礼を言うとか。
それでも大人か!

と、思ったら手に紙袋を持って帰ってきた。
は?
何してんの?


「あんた、なんで戻ってきたの?」

「着替え受け取ったから。」

「着替え!?」

「あれ、俺の秘書。」


開いた口が塞がらない。
秘書に着替えを持って来させた??
え、待って。
帰らないの??


「あのさ、帰らないの? 帰るよね? ってか、帰れ!!」

「高山さん、バスルーム借りていいですか?」


聞け!


「ああ、どうぞ。リビング出て左です。」

「どうも。」


スタスタと道明寺はバスルームに向かった。


「道明寺さん、ここに住む気かな。」


悠介の言葉に、思いっきり振り向いた。


「ははは、まさか…ありえない…無理…」

「はよー」


順が起きてきた。


「昨夜、プロキス師はどうした?」


なんちゅー代名詞よ。


「バスルーム。ちなみにキスは手始めだったみたいだぞ。」


あたしの代わりに悠介が答えた。
余計なこと言わなくていいから。


「へー、それはそれは。さすが仕事が早い男は違うねぇ。」


順のニヤつきがムカつく。
無視して2人に朝食を出す。

そこにシャワーを終えた道明寺が入ってきた。


「シャワー、サンキュ。」


!!!


あたしを含めた男子2人も固まった。


「ちょ、ちょ、ちょ!」


あたしは腰にバスタオルを巻いただけの姿で頭をガシガシ拭いている道明寺をリビングから廊下に押し出し、脱衣所に連行してドアを閉めた。


「なんだ? ここでシたいのか?」

「バカなこと言ってんじゃないわよ! あんた、服着なさいよ! 秘書さんが持ってきてくれたんでしょ。」

「あちぃ。冷めてから。」


壁ドン!


「道明寺、もしあたしがバスタオル1枚巻いただけの姿で、他の男の前に出てきたらどうする?」


あたしは鬼気迫る形相で道明寺を見上げた。


「は? んなの許すわけねーだろ! お前を見た男の目を潰す。って、お前、まさか…」

「あたしじゃないわよ! いま、あんたがしてることはそういうことなの! あんたを「そういう目」で見る男子と住んでるんだからね。気をつけてよ!」


悠介なんかきっと道明寺は好みだ。
パートナーがいてもときめくのは自由だし。


「マジかよ。」

「マジよ。あの2人にあたしの裸は犬猫と変わりないけど、あんたは話が違う。まったく。無防備なのよ。」


あたしは腕組みしてプンスカしてたと思う。
何にそんなにイラついてたのか、自分でも気づいてなかった。
そしたらいきなり道明寺が背後から抱きついてきた。


「なに? 放せー!」

「それって嫉妬か? 独占欲だろ。」

「は?」

「俺を他の男に見せたくなかったんだろ? 独占欲だよな?」

「いや、え? 独占て…」

「自覚なしか。でもそれは正真正銘、独占欲だ。お前は俺が好きだぞ。」

「そりゃ、好きだけどさ…」


そう。あたしはこいつが好きだ。
ただ、17年前とは熱量が違うだけ。


「…おい、もう一回言え。」

「ん? 好きだよ。」


あたし的には甘い雰囲気なんてない。
淡々と事実を述べただけ。
なのに…こいつはいきなりキスしてきた。
プロキス師
順の言葉が脳裏をかすめた。


「…ん…」


やばい。これはやばいやつだわ。
離れなきゃ。
身をよじり、腕をつっぱり、頭をのげぞらせてようとするけど放してくれない。
マズイ、クラクラしてきた。
その時、


コンコン


ノックが響いた。

力一杯離れる。


「お取り込み中だろうけど、そこ、使いたいんだよね。」


順だ。


「ご、ごめん。今出るから!」


あたしは横にあった紙袋から服を出して道明寺に押し付けた。


「服着て!」


しぶしぶ服を着た道明寺と脱衣所を出た。



*******



みんなを送り出し、ホッと一息。
・・・のはずが、なぜお前は未だにここにいる!

ダイニングテーブルであたしの向かいに座りコーヒーを飲んでいるクルクルの人。


「朝食食べたら? あんたの分、あるよ?」

「朝はいらねー」

「仕事は?」

「日曜までオフ。17年分だ。」

「ふーん…」


そう言えば、あたしはこの人の17年を何も知らない。
結婚とかしてたっけ?
子供は?

あの後、あたしは都立に転校した。
経済的にもう本当に限界だったから。
そこから奨学金を得て国立の大学に進み、悠介たちと出会い、子供を産んだ。
就職はせず、数年は子育てに専念し、一昨年からやっとパートタイムで働き始めた。


「ねぇ、道明寺の17年てどんなだった? 幸せだった?」


あたしは昨日、再会してから初めてこの人に興味を持った。
あたしの知らない17年をこの人がどんな風に過ごして、何を考えてたのか。
知りたいと思った。










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2019.04.05




牧野が小首を傾げて「幸せだった?」と聞いてきた。
お前がいないのに幸せなわけねーだろ。
と、言ってやりたいが、こいつを忘れた俺は、それなりに幸せを感じてると思ってた。
今思えば、それは幸せなんかじゃなかったけど、牧野を知らない俺には本物の幸せなんてわかるはずもなく、現状に満足するってか、“ そんなもん ” だと思ってた。


「結婚とかしてたっけ?」


実はしてた。
25の時だ。
御多分に洩れず政略結婚てやつ。


「ああ。25の時な。」

「ん? じゃ、別れたの?」

「ああ。」

「恋愛?」

「いや、政略。」

「じゃ、別れたのもそういう利害の一致?」

「んー、まあ、あのババアだし。でも表向きの理由は子供ができないことだったな。」

「・・・何年間のこと?」

「5年。」

「5年か、そっか、長いね。」


牧野は目を伏せてコーヒーに口をつけた。
こういう話題は気を遣うよな。


「でも理由があったんだ。」

「理由って、できない理由?」

「あっちがずっとピル飲んでた。」

「えっ! 子供欲しかったんじゃないの?」

「家同士は欲しかっただろうけど、本人は欲しくなかったんだろ。」


俺は知ってた。
知ってて何も言わなかった。
互いに嫌いじゃなかったけど、愛情もなかった。
夫婦だけどセフレみたいな関係に子供はいらないと思ったんだろ。
後継が生まれないことに業を煮やしたババアがあっちを切った。
それも俺にはどうでもよく、別れもあっさりしてた。
そうだ、あいつは俺とよく似てた。
本当の幸せを知らない女だった。
最後の言葉は「5年も同じ男とヤってると飽きるからちょうどよかった。バイバイ。」だった。
負け惜しみでもなんでもなく、あいつの本心だとわかったのは俺も同じことを思ってたから。


「道明寺? 奥さんのこと、思い出しちゃった?」


また小首を傾げて牧野が聞いてきた。
その仕草、可愛いけどお前、34だぞ。


「また妬いてくれんの?」

「フフッ、妬かないよ。道明寺に幸せな思い出があるならよかったと思っただけ。」


幸せな思い出・・・
その言葉で俺が思い出すのは17年間のことじゃない。
17年前のことだ。
こいつと過ごした数ヶ月。
俺の人生を通して、幸せだったと言い切れるのはその期間だけだ。


「なぁ、なぁなぁなぁ、」

「な、何よ?」

「昨夜さ、順とのこと、話が長くなるって言ってただろ? 今、聞かせろよ。」

「はぁ? やだよ。これから午前中は家のことしなきゃ。忙しいもん。」

「今日は休みか?」

「うん。」

「じゃ、もう一回、」

「バカッ!」


牧野は立ち上がって食器を片付けた。
まだ何も言ってねぇじゃん。
もう一回、風呂かもしれねーじゃん。

俺はそのままダイニングに座って、牧野が忙しく立ち働く姿を眺めてた。
洗濯をして掃除をして。
牧野たちが住んでるこの部屋は俺からしたら狭いけど、あの頃の牧野からしたら相当に広い。
100平米以上はあるだろう。


「あいつらって何してんの?」


台所で洗い物をしてる牧野に尋ねた。


「んー? 悠介は商社の法務部、順は大学職員で主に野球部のスカウトマン。」


それでこんなマンションを買えるんだな。
いくら東京郊外といっても、この立地でこの広さなら7000万は下らないだろう。
俺がこいつを忘れてた17年間、あの2人がこいつを守って、食わせて、幸福を与えてくれてた。
あいつらは俺に礼を言ってたけど、俺の方こそあいつらに感謝しなきゃいけねぇんじゃねーの?


「お前さ、処女なのによく子供産もうとか思ったよな。」


牧野は目をまん丸にして驚いて、すぐに優しく笑った。
手に布巾を持って来て、テーブルを拭いて腰掛けた。


「あたしさ、10年は待とうと思ってた。あんたの記憶が戻るのを。」


今度は俺が驚く番だった。
10年?
17からの10年を俺を待つために費やそうとしたのか?


「でもさ、寂しかった。苦しかった。心に溢れる愛が、出口を求めてた。」


牧野は開け放たれたテラスから吹き込む風が揺らす薄いカーテンを見ながら呟いた。


「だから子供を産んだの。思い切り愛していい存在を自分で産んだの。もちろん、清佳も壮介も順と悠介の子だよ。でもたとえ離れることになっても、心の中では無償の愛を注げる存在だから。」


そう言って微笑んだ顔は今までで一番綺麗だった。
俺は牧野の手を取ってその指にキスをした。


「今度は俺を思い切り愛してくれ。」


それは懇願だった。
こいつにもう一度、愛を注がれたい。
こいつの愛をもう一度、浴びたい。


「3番目だけど、いい?」


今日何度目かの小首を傾げる仕草で、俺の顔を覗き込んだ。
3番目?


「1番は清佳と壮介が同列で入るから、あんたは3番目。」


いや、むしろ上位で驚いてんだが。
5番じゃなくてよかった。


「何番でもいい。お前が愛してくれるなら。」


すると牧野は立ち上がり、自分の部屋に消えていき、またパタパタと戻ってきた。
そして俺の傍に立った。


「じゃあ、はい。」


牧野が差し出したのは、懐かしいジュエリーケース。
俺はそのあまりにも意表を突いた再会に声も出ず、目を見開いてマジマジと牧野の手の中にあるそれを眺めた。


「あたしはあんたがあたしを想ってくれる10分の1くらいしか、あんたのこと好きじゃないかもしれないよ?」


俺はいろんな感情が込み上げてきて、少し手が震えていたかもしれない。
牧野の手からジュエリーケースを受け取り開いた。
そこには17年間、輝きを失わなかった土星のネックレスがあった。


「…じゃ、残りの9を足していこうぜ。」


俺は牧野を引き寄せ膝に座らせて、そのネックレスを今ふたたび彼女の首にかけた。


「クスッ、10分の9ね。」


牧野のキスが落ちてきた。
あの時は強引に俺からしたキス。
でも今度は牧野が俺にしてくれた。

優しいキス
あの頃の、まだ何も知らなかったガキの、それでも全身でこいつを求めてた時代の心が震えるキスだった。








「な、これ、確か俺が川に投げたよな? 中身入ってなかったとか? でもケースもこれだよな?」


牧野は真っ赤になって俺の膝に乗ったままプイッと顔を背けた。


「あの頃、すでにあんたを好きだったから川に入って探したの。」


・・・絶句。


「…あ、あの頃って漁村から帰ってすぐだよな? お前、いつから俺のことが好きだったんだ?」


そういや聞いたことなかったな。
牧野は顔を背けたままだ。


「あの雨の日に、あんたに別れを告げた時に自覚した。」


“ あの雨の日 ”

俺にとって記憶を失くしたことの次に思い出したくない日だ。
何度、あの日が無かったらと思ったか。
でもこいつはあそこまで極限に追い詰められなきゃ俺への気持ちを自覚しなかったってことか?
だとしたら超絶鈍感女だな。


俺は心の底から牧野への愛しさがこみ上げた。
両腕を牧野の体に巻き付けるように抱きしめた。
牧野の体重が俺にかかり、その温かさが沁み込んでくる。


「あの時、冬だったよな。水も冷たかっただろ? 夜だったし。それなのに川に入ったのか?」


首筋の甘い香りを嗅ぎながら、こいつの話をもっと聞きたい。
どれだけ俺を好きだったのかもっと知りたい。


「だって、絶対に失くしたくなかったから。あんたとあたしを繋ぐ、唯一の物だったから。」


もっと聞きたいのにもう我慢できない。
媚薬のごとき牧野の香りと耳に聞こえる愛の告白に、理性なんてとっくにブチ切れた俺は目の前の白い首に唇を寄せた。






Let's be a Family! 〜 Regeneration 〜 再生【完】









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2019.04.06
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